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Projects

高槻市 | 古民家リノベーション 人が集い、音楽を楽しむ場所へ

古い梁や柱、建具など、受け継いだものを生かして整えた古民家リノベーション。

音楽や趣味を楽しむ。ご夫婦の憩いの場として、自然と地域の人が集まる場所へと育った住まいをご紹介します。

一度は諦めた古民家と、もう一度つながった縁

この古民家との出会いは数年前、古民家に憧れ、探していたご主人の目にとまったのがここだったのです。

山の中という立地、そして虫が苦手な奥様、当初はご夫婦の間でも意見がまとまらず、購入を見送ることに。
月日は流れ、1年程経ったある日、ご主人の中に再びこの場所への思いが浮かびます。

「あそこ、どうなったかな」

調べてみると、奇跡的にも誰の手にも渡っていませんでした。

そうして動き始めた、この古民家とのストーリー。

ご購入後は増築されたスペースを生活の場とし、母屋の方はぼちぼちDIYでやっていこうと考えておられましたが、なかなか手を入れられないまま月日が過ぎていきました。
「せっかくこんないいスペースがあるのに、生かせていない」。そんな思いから、河原工房へご相談いただきました。

サロンでも、カフェでもない。「どう過ごすか」から考えた空間

ご相談いただいた当初は、ヘアメイクのお仕事をされている奥様のサロンにするという構想でしたが、話を重ねるうちに、「カフェもいいかもしれない」というアイデアが生まれます。
一方で、それがいつ実現するのか、本当にカフェにするのかも、まだ決まってはいませんでした。

そこで私たちが大切にしたのは、用途を急いでひとつに絞らないこと。

将来何かを始めたくなったときにも使いやすく、今はご夫婦が心地よく過ごせる場所にする。
暮らしの変化を受け止められる、余白のある空間を目指しました。

そのために、まずは安心して快適に過ごせるようにしてさしあげ、傷んでいた下地や基礎などは解体してつくりかえました。

一方でこの古民家の大きな魅力である立派な梁や柱は残しました。

古民家がもともと持っていた良さを生かしながら、これからの使い方を自由に描いていける場所へ。そんな考え方を軸に、空間を整えていきました。

古いものと新しいもの、その間にある心地よさ

この空間で目を引くのが、黒く深い色をまとった梁や柱と、施工の際にはご夫婦にもお手伝いいただいた表情豊かな白い漆喰壁、エイジング加工した足場板の床の組み合わせです。

長い時間を過ごしてきたものと、新たに作り出した部分が見事に融合し、古いものだけに寄りすぎず、今の暮らしにも馴染む空間になりました。

そして、もうひとつ大きなポイントが、空間奥に外と繋がる大きなガラス窓。
断熱などの性能面も考えながら実物を確認していただき、ペアガラスのサッシを採用しました。

窓のサイズを極限まで大きくし、外へ視線が抜けるようにしています。

環境のせいか透明度が高く、まるでガラスが入っていないかのよう。

窓の向こうにあるのは、以前からそこにあった石垣と、山の緑。
室内を整えたことで、もともとこの土地にあった景色が、以前より身近に感じられるようになりました。

季節ごとに表情を変える風景は何をしていても自然に目に入り、カウンターに立つ時間も、ソファーで過ごす時間も豊かにしてくれます。

音楽が漂い、人が集う。自分たちらしく過ごせる場所

音楽好きのご夫婦にとって、ただくつろぐだけの場所ではなく、好きなことを実現できる場所でもあります。

お二人でセッションするのはもちろんのこと、近所の方が訪れれば、ギャラリースペースで一緒に演奏することも。

この地域は小さな集落で、ご夫婦は地域の行事や清掃活動などにも参加されています。
お餅つきなどの折には「この家に集まりたい」とリクエストされることもあるそうです。

初めから「地域の集会場をつくろう」と計画していたわけではありません。

けれど、ご夫婦が自分たちらしく過ごせる場所を整えたことで、そこへ自然と人が集まるようになりました。

受け継いだものを残すことも、この家をつくること

この古民家では、前の持ち主からさまざまな家具や道具も受け継ぎました。

処分するのではなく、「これは残したい」「何かに使えそう」と考えながら、新しい役割を見つけたものもあります。

もともとあった囲炉裏もそのひとつ。
使える状態ではなかったものに手を入れ、再び使えるように整えました。
ご主人が作られたピザ窯も、いつかカフェをすることになれば活躍するかもしれません。

古民家のリノベーションは、古いものをすべて残すことでも、すべて新しくすることでもないと私たちは考えています。

この家が積み重ねてきた時間を見ながら、残すもの、直すもの、新しく加えるものをひとつずつ考える。

そうして整えた空間には、新築とはまた違った、時間の重なりが残ります。

そして今、その時間の続きをつくっているのは、ご夫婦と、ここを訪れる人たちです。

「これからここで遊び倒します」

完成後、ご主人からそのような嬉しいお言葉をいただきました。

サロンになるかもしれない。
いつかカフェになるかもしれない。
あるいは、このまま音楽を楽しみ、人が集まる場所であり続けるかもしれません。

使い方をひとつに決めなかったからこそ、これからの時間に合わせて、この古民家もまた変わっていける。

昔からあるものを受け継ぎながら、次の暮らしを重ねていく。
そんな古民家再生のかたちが、ここにあります。

エリア
高槻市
期間
58日間
費用
610万円
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